トランジットの冥王星が事件のトリガーに? ~Bettyの事件から、わかること

あれこれ

~カリフォルニア・サンディエゴの殺人事件~

Netflixのオリジナルドラマ“Dirty John :Season2:Betty ダーティー・ジョンー秘密と嘘―の元になった、1989年カリフォルニアでの殺人事件。前回は、犯人であるBettyという女性が、どんな人物だったか、彼女のホロスコープから読み解いてみました。(ドラマの予告編はこちらです。 https://youtu.be/RE-GwkeZQmI )

そこからは、とにかく完璧な妻・母親であろうとした女性の姿が浮かんできました。そして、その役目を果たすことが生きがいだった女性。しかし夫に裏切られた時、彼女は激しい感情に飲み込まれ、自分をコントロールすることができなくなってしまいました。

彼女が愛や絆をよりどころにしようとするほど、傷つき、課題に向き合うことになったのも、彼女の太陽(魂の欲求)やカイロン(魂の傷)、土星(人生の課題)の関係からも読み取ることができました。

・・・確かに、ハードな人生を送る暗示がホロスコープからも感じられました。が、それらのハードルは乗り越えることができるからこそ、彼女の人生に現れたのです。(カイロンや土星は全ての人のホロスコープに現れます。そこを、乗り越えると素晴らしい景色を見ることができるのです!) 

彼女が、激しい感情に飲み込まれやすい人だったのは、ホロスコープにも現れています。一方、彼女は美的センスがあり、人当たりもよく、色々な才能にも恵まれていました。なので、そういう資質をいかして、何とか、離婚の影響から立ち直ることができなかったのでしょうか。

ただ、事件当時の星周りを見たら、彼女にとって非常にしんどく辛い時期だったのがわかりました!

過酷な事件当時の星周り

これが、事件当時の星周り(トランジット)を記したBettyのホロスコープです。この図では、ホロスコープの周りの、緑の記号がその当時の天体の位置を表わしています。

これを見ると、大いなる変容をもたらす死と再生、破壊と再生の冥王星が、彼女の重要な天体とインパクトのあるアスペクトを作っているのがわかります。いわば、このトランジットの冥王星が、この事件を引き起こすトリガーとなったと言えるのかもしれません。

とにかく、この星周りは彼女にとってかなりしんどい状況を生みだしていたのは間違いないでしょう。

ネイタル太陽&カイロンにトランジットの冥王星がコンジャンクション

まず、上の図を見て目につくのが、自分を表わす出生時の太陽にトランジットの冥王星がコンジャンクションしていること。自分の上に、破壊と再生の大変容の冥王星が乗っかっているわけです。それだけでも、平穏でない雰囲気が伝わってきますが、しかもBettyの太陽は魂の傷カイロンとコンジャンクション

ということは、冥王星が彼女のカイロンともコンジャンクションの関係をとっているのです。

自分ではコントロールできないパワーを持つ冥王星が、魂の傷にどっかり乗った状況…。想像するだけで、ちょっとしんどくなってきます。自分の魂の傷をえぐられるような経験をして、生まれ変わらねばならない状況が来たとも言えるからです。それは、もう彼女一人では何ともしがたい苦しみやプレッシャーがあったのではないでしょうか。

冥王星というのは、公転周期が248年。ですから、一生のうち、自分の出生時の太陽やカイロンにトランジットの冥王星が重なるというのは、誰にでも起こるわけではないのです。

ですから、Bettyに起きていた、このトランジットの星周りの影響は、非常に運命的だったともいえます。

後に裁判で、彼女は 事件当時の自分について ”I was snapped.”と話しています。「我慢・自制・冷静さなどがぷつんと切れた」「〈我慢などの〉限界が来た」という意味です。

その限界を超えるトリガーとなったのが、この非常に運命的な星周りだった…。

 *でも、もしBettyが、自分はこの時期、星周り的にもしんどい時期だと把握していたとしたら、この危 機を回避
 できたのでしょうか。結論からいうと、冥王星に抗うことは不可能なのです。天に任せるのが、最善の対処法です。
 それだけ、トランジットの冥王星が、自分のネイタルの天体に重なった時は、覚悟がいるとも言えます・・・。た
 だ、もちろん殺人事件を起こすような最悪の事態は、避けることが可能だったとも思います。(後述していますが、
 幸運の木星を使ったりして)

事件は彼女のソーラーリターン(誕生日)直前に起きた

更に、事件のあった11月5日というのは、Bettyの43歳の誕生日の2日前のことでした。つまり、彼女のソーラーリターンの直前でもありました。

ソーラーリターンというのは、太陽が生まれた時の位置にもどってくること、つまり自分の誕生日がソーラーリターンの日。自分の魂の欲求を表わす太陽に、トランジットの太陽が戻ってくる。この日から、また新たな出発です。誕生日というのは、やはり大事な日なのです。

けれど、この誕生日直前は、1番闇が深い時。ソーラーリターンが夜明けだとしたら、夜明け前の空が1番暗い・・・。なので、誕生日直前は、何となく気持ちがもやもやすっきりしなかったり、落ち込んだり気が塞ぎやすくなる時だと言えます。(私も、誕生日直前は「あ~、また誕生日か・・・。1年早かったなあ」など、ちょっと憂鬱になることがありますが、ソーラーリターンの影響もありますね。)

つまり、1989年11月の事件当時、Bettyは冥王星によって太陽とカイロンに大きなプレッシャーを受け、ソーラーリターン直前で、気持ちが塞ぐ時期でもあったのでした。

ところが、まだ見逃せない星周りがありました!

ネイタルとトランジットの冥王星がぴったり90度、葛藤の関係

彼女のネイタルの冥王星と、トランジットの冥王星が誤差のない90度、葛藤の関係も作っていたのです。

どなたでも36歳~42歳頃に、ネイタルの冥王星とトランジットの冥王星が90度の関係になります。いわゆる中年の危機といわれる時期のことで、離婚・転職など人生の意味や意義を問われる時期になります。自分と向き合わざるをえないトラブルが起きたりもします。

まさに、Bettyが経験した離婚は、Bettyの生き方を大きく変えるもので、彼女はこれからどう生きていくのか、自分と真剣に向き合わなければいけない時期だったのです。1989年11月当時、彼女のネイタルとトランジットの冥王星は誤差がない90度でしたから、余計にその意味合いがマックスの時期だったのです。Bettyの心もぴんと張り詰めた、とても危うい時だったのではないでしょうか。

事件前、ネイタルとトランジットの天王星が緊張の関係

また、どなたでも40歳前後に、ネイタルとトランジットの天王星が180度の緊張関係になります。この時期は人生の中で変化を経験する時。この変化を受け入れることで、成長できるのですが、この変化を拒否したり観ないふりをすると、問題となって目の前に登場してきます。

ちょうどBettyも事件を起こす前に、この天王星の緊張状態が続いていました。夫の様子がおかしくなったことにBettyが気づき始めたのも、この時期。その時に、夫が変わったこと、子供も成長に連れ変わっていくことを受け入れつつ、自分の本当の生きがいは何なのか、じっくり自分に向き合えたらよかったのかもしれません。

事件は回避できたか ~幸運の木星や、冥王星の調和ポイントから考える~ 

当時、幸運の鍵となる木星が蟹座にありました。これは、Bettyの太陽蠍座から数えると、9番目。つまり、9ハウス的な面が彼女に幸運を運んでくれたはず。9ハウスは射手座的なもの、例えば海外旅行、専門分野を学ぶ、・・などを意味します。

なので、この時期、気分転換にしばらく海外旅行をするとか、専門分野を学ぶ為留学するなどしていたら、この冥王星のプレッシャーから逃れることができたのではないでしょうか。(完全に逃れることは無理だったとは思いますが)

また、ネイタルの太陽やカイロンを圧迫するトランジットの冥王星は蠍座。この蠍座のエネルギーを調和的に変換できるのは、蟹座と魚座蟹座や魚座的な要素を取り入れることで、少し生きやすくなったかもしれません。

例えば、自分の居場所を居心地良くするため、インテリアにこだわる(蟹座的)、信頼のおけるカウンセラーを見つける、絵を描く、自分の体験をもとに小説を書いて世の中の共感を得る(魚座的)・・・など。

ネイタルとトランジットの冥王星が調和の関係になる時

50歳頃には、どなたでもネイタルとトランジットの冥王星が120度の調和の角度を取ります。このときには、40歳前後で起きるネイタルとトランジットの冥王星が90度で葛藤する時期に頑張ったことが成果になって現れる時。

Bettyの場合、2001年がその時期になります。なので、彼女が1989年の事件を起こさず、生活を立て直していたら、2001年頃に何か大きな成果が得られたのではないでしょうか。ん。

もっとも、彼女にとって、この時期刑務所で過ごす人生から得られたものも沢山あったのかもしれません。

まとめ

激しい感情を持つBetty。けれど、事件当時の星周りも、非常に彼女にとっては過酷だったことがわかりました。

自分のネイタルの太陽やカイロンに、トランジットの冥王星が乗っかる状態。

誰にでも起きるわけではないこの星周り。
この影響が、彼女を最終的な行動に走らせてしまった1つの要因、トリガーになった。

更に当時は、Bettyにとってソーラーリターン直前の、最も暗闇の濃い時期

彼女の持って生まれた性質と、これらの星周りが相まって、悲劇につながったと言えるのではないでしょうか。

Bettyの事例を見ると、トランジットの天体が、自分のネイタルの天体に重なったり、重要なアスペクトをとる時期を把握しておくことは、やはり人生の荒波を乗り切るときに役に立つように思いました。

トランジット冥王星の影響から逃れることはできないものの、最悪の事態を回避できる方法を、ホロスコープから見つけることは可能だからです!

さて、Bettyは現在75歳。今後、釈放されることがあるのかどうか。もう一生、刑務所で過ごすのでしょうか…。

星読み的にも、一人の女性としてもいろいろ考えさせられるドラマでした。

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